3歳の息子が不快を示すときに、言葉で示さずに「ふえふえ」と泣きそうな声をだして不満を伝えようとしてきます。どう対処するのが良いのでしょうか?
3歳の子どもが「ふえふえ」と泣き声で不満を伝える理由
――言葉が出ないのは甘え?発達?正しい対応を研究ベースで解説
導入文(リード文)
3歳の子どもが、不快なときに
言葉ではなく「ふえふえ…」と泣きそうな声で不満を伝えてくる。
「言葉は話せるはずなのに、なぜ言わないの?」
「甘えているのでは?」
「このままで大丈夫なのか不安になる」
こう感じる親は少なくありません。
結論から言うと、
これは発達的にとても自然な反応であり、
関わり方を間違えなければ、自然に言葉での表現へ移行していきます。
この記事では、
- なぜ3歳児は「ふえふえ」になるのか
- それは問題行動なのか
- 親はどう対応するのが正解なのか
- その対応に科学的根拠はあるのか
を、研究ベース+家庭で使える形で整理します。
3歳の子どもが「ふえふえ」と泣き声で不満を伝える理由
感情が言語能力を一時的に追い越すから
3歳は語彙が一気に増える時期ですが、
感情を整理して言葉にする力は、まだ発達途中です。
不快・悔しい・思い通りにならない
↓
感情が急激に高まる
↓
言葉を組み立てる余裕がなくなる
その結果、声や泣きそうな音が先に出るのです。
これは「話せない」のではなく、
感情が強すぎて話せない状態だと考えると分かりやすいでしょう。
「それで伝わった」経験がある
泣きそうな声を出す
→ 親が気づく
→ 状況が変わる
この経験が積み重なると、子どもは
「一番早く伝わる方法」としてその表現を使います。
これは甘えではなく、
子どもなりの合理的な選択です。
瞬発的な言語化がまだ難しい
落ち着いていれば話せる子でも、
- 疲れている
- 眠い
- 空腹
- 体調が万全でない
こうした条件が重なると、
言語化が一時的にできなくなるのは自然なことです。
「ふえふえ」は問題行動?よくある誤解
よくある誤解
- 甘えている
- わがまま
- 赤ちゃん返り
- しつけ不足
結論から言うと、
どれも本質ではありません。
これは「できないことをしていない」のではなく、
**「今はできない状態になっている」**だけです。
やってしまいがちなNG対応
- 「ちゃんと言いなさい!」
- 「泣かない!」
- 「何が言いたいの?」(感情が高い最中)
これらはすべて、
言語化をさらに難しくする対応になります。
感情が高ぶっているときに
「言葉で説明する」ことを求めるのは、
大人で言えば怒っている最中に論理的説明を求められる状態です。
正しい対応:感情コーチングという考え方
研究でも有効性が示されているのが、
**感情コーチング(Emotion Coaching)**です。
ポイントは「順番」。
① まず感情を受け止め、親が言葉を添える
子どもが「ふえふえ」としているときは、
言わせようとせず、代弁します。
- 「嫌やったんやな」
- 「悔しかったんやな」
- 「思い通りにいかんかったんやな」
ここでの目的は、
言葉の見本を渡すことです。
② 落ち着いてから言語化を促す
感情が少し下がったタイミングで、
- 「さっきのは、なんて言えそうやった?」
- 「言葉にすると、どうなるかな?」
と、振り返りとして言語化を促します。
その場で言わせる必要はありません。
③ 言葉で言えたら、即フィードバック
- 「そう言ってくれたら分かりやすいな」
- 「ちゃんと伝わったで」
これで子どもは、
**「言葉で言う方が楽」**と学習します。
対応方法を裏付ける研究・エビデンス
親の感情コーチングと感情調整能力の関連
Dunsmoreらの研究(2012)では、
親が子どもの感情を受け止め、言葉を添えて支援する関わりが、
子どもの感情調整能力や適応行動の向上と関連することが示されています。
特に、感情の起伏が大きい子どもほど、
この関わりの影響が大きいとされています。
幼児教育現場での観察研究
保育現場でも、
- 感情を反映する
- 感情に名前をつける
といった関わりが、
自己調整(self-regulation)の発達を促すことが確認されています。
感情と言語の発達の関係
感情を言葉で表現できる子どもほど、
- フラストレーションが減る
- 問題解決力が高まる
- 対人関係が安定する
ことが、多くの研究で示唆されています。
家庭ですぐ使える声かけ例
感情が高いとき
- 「嫌やったんやな」
- 「それは悔しいわな」
少し落ち着いた後
- 「どうして嫌やったん?」
- 「言葉にすると、なんて言えそう?」
言葉で言えたとき
- 「今の言い方、分かりやすかった」
- 「ちゃんと伝わったで」
まとめ|「ふえふえ」は成長途中の自然な表現
- 「ふえふえ」は問題行動ではない
- 感情が言語より先に動いているだけ
- 親が言葉を添えることで、自然に言語表現へ移行する
止めるべきものではなく、
育てていく途中の表現です。
親がやることはシンプル。
感情を止めず、言葉を渡す。
それだけで、
この「ふえふえ」は確実に変わっていきます。
本記事の内容の参考・根拠
本記事で紹介した「感情を受け止め、言葉を添える関わり方(感情コーチング)」は、
育児の経験則だけでなく、心理学・発達研究でもその有効性が示されています。
以下は、本記事の考え方のベースになっている代表的な研究・資料です。
親の感情コーチングと子どもの感情調整に関する研究
- Dunsmore, J. C., Booker, J. A., & Ollendick, T. H. (2012).
Parental emotion coaching and child emotion regulation.
Journal of Child and Family Studies. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3811942/